屋根材選びは、色や形などのデザイン以上に、メンテナンス性を重視して選ぶことをおすすめします。将来的な雨漏りの不安を減らし、屋根のメンテナンス費用を少なく抑えるためにも、人気の屋根材や屋根形状の特徴、相性の良い組み合わせなどを知っておきましょう。

現在住宅用に使われる主な屋根材は、スレート材、ガルバリウム鋼板、日本瓦、セメント瓦の4種類です。それぞれの特徴・メリット・デメリットは以下の通りです

スレート材

繊維とセメントを板状に成型して作る屋根材で、「化粧スレート」とも呼ばれます。天然の粘土を使って作るものは「天然スレート」と呼ばれますが、高価で割れやすいため現在はあまり流通していません。 住宅に使われる定番の屋根材で、多くのハウスメーカーで採用されています。ケイミュー社(旧クボタ)の「カラーベスト」や「コロニアル」などの商品が有名です。

オーソドックスでシンプルなデザインのスレート材は、どのような住宅デザインにも馴染みます。工事価格も比較的安定しており、選びやすいおすすめの屋根材です。断熱・遮熱性能も有しているため、屋根裏の温度上昇を防ぐ効果も持っています。また、比較的軽量な素材ですので、屋根にかかる負荷を軽減し、地震が起きたときの建物の揺れ幅を小さく抑える効果もあります。

スレート材の耐久性を維持するためには、表面の定期的な塗装リフォーム工事が必要です。塗装リフォームは約10年に1度行わなくてはなりません。 塗装の劣化だけでなく、スレート材そのものにヒビや割れ、コケが生じることもあるため、これらの症状が深刻化する前に、約5年に1度は点検工事を行うことが推奨されています。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、アルミと亜鉛の合金でメッキ処理された金属系の屋根材です。

ガルバリウム鋼板は、最も軽い屋根材です。軽量なため施工しやすく、建物の基礎や壁に大きな負荷をかけることがありません。また、屋根が軽くなることによって、家の耐震性向上にも繋がります。カラーやデザインも各メーカーから多くのデザインが用意されており、設置後は独自の光沢でモダンな外観を作り出します。

金属のガルバリウム鋼板は、表面に傷が出来ると錆びが生じることがあります。そのため、塩害地域では耐用年数が約10年ほど短くなってしまいます。また、金属製のため熱を伝えやすく、屋根材そのものに断熱性はありませんので、屋根裏の天井や屋根材裏側などの断熱工事が別途必要です。 その他、金属のため他の屋根材に比べて雨音が響きやすいというデメリットもあります。

日本瓦

粘土や土を高温で焼成して作る、昔ながらの和風の瓦です。表面がガラス質の釉薬に覆われているものや、炭素膜で覆われた「いぶし瓦」などがあります。

重厚感のある和風の外観イメージを作る場合、日本瓦はこれ以上ないと言って良い屋根材です。しかし、日本瓦最大のメリットは、表面の塗装が不要な点にあります。屋根材は、約10年に一度塗装リフォームを行わなくてはなりませんが、日本瓦ではその必要がないため、約60~100万円の塗装工事費用を抑えることができます。屋根材自体の耐久性も高く、スレート材やガルバリウム鋼板の耐用年数が約30~50年と言われるのに対し、日本瓦は約50~90年という驚異的な耐用年数となっています。また、一年を通して気候が変化し、雨も多い日本で長く使われてきただけあって、断熱性が高く通気性にも優れているというメリットがあります。また、防水性に優れ、吸水率が低い点でも人気を得ています。

日本瓦は、ガルバリウム鋼板やスレート材に比べて、非常に重い屋根材です。屋根が重くなると地震の際に建物が揺れやすくなりますので、壁や基礎に負荷を与え、家の耐久性が低下する恐れがあります。 また、表面の塗装リフォームは発生しませんが、瓦の割れや剥がれ、接合部の漆喰などの点検は行わなくてはならず、放っておくと雨漏りの原因になってしまいます。

セメント瓦

セメントを成型して作る瓦で、和風だけでなく洋風やモダン風など、バリエーション豊かなデザインラインナップが特徴です。

和風・洋風どちらのデザインにも対応でき、特に洋風のセメント瓦は本格的な欧米風の外観が手に入ることで高い人気があります。さらに、日本瓦よりも施工価格が安いため、重厚感や和風のデザインにこだわりがなく、後述のデメリット面に問題がなければ、日本瓦の代わりにセメント瓦を選んでも良いでしょう。

重い素材である点や、点検が必要な部分は日本瓦と同様です。しかし、セメント瓦は日本瓦と違って、表面の塗装リフォームが必要です。塗装が劣化し、セメント瓦本体が劣化してしまうと、瓦そのものの交換リフォームが発生します。また、耐用年数はスレート材などと同程度の約30年となっており、耐久性・メンテナンスの簡易さでは日本瓦に軍配が上がります。

家の外観には、屋根材の種類だけでなく屋根の形状も影響します。さらに、屋根の形状は見た目だけでなくメンテナンス方法にも違いがあります。屋根の形状と言っても様々な種類がありますが、以下からは近年の住宅で使われることの多い3種類をご紹介します。

切妻屋根

オーソドックスな三角の屋根です。中心部に大棟があり、その左右に野地板が伸びています。

切妻屋根は棟が1本しかないため、比較的雨漏りが生じにくい屋根形状です。また、シンプルな屋根面になっているため、葺き替えや塗装リフォームの際、施工の手間がかからないというメリットがあります。

切妻屋根のうち、屋根が伸びていない方を妻側と呼びます。妻側の外壁は屋根でカバーされていないため、雨や紫外線に晒されやすくなり、雨漏りや塗装の色あせなどが生じ、外壁の劣化が早まる恐れがあります。

寄棟屋根

合計4枚の屋根面で構成された、近年の住宅では主流な屋根形状です。

四方に伸びた屋根が外壁全面をカバーするため、雨や日光の直撃を防ぐ効果があります。また、スタンダードな屋根形状ですので、周囲から浮いてしまう心配もありません。

屋根面の数が多い分、軒も増えますので、メンテナンスの頻度も高くなります。

片流れ屋根

1枚の屋根が一方向に傾いている屋根です。

片流れ屋根のスタイリッシュな形状は、モダンなエクステリアデザインにぴったりです。さらに、屋根の先端付近にはロフトなどを設けることができるなど、空間を有効活用できる点から狭小地の住宅で人気があります。

片方に傾斜している構造上、雨が一方向に流れます。そのため、太い雨樋でなければ大雨の日に耐えることができない恐れがあります。また、片流れ屋根はケラバの雨漏りが生じやすいというデメリットもあります。片流れ屋根のうち、地面に対して水平になっている屋根の端くを「軒」と呼び、地面に対して傾斜している屋根の端を「ケラバ」と呼びます。ケラバは、雨樋いが付いていないため、通常は水切り金具でカバーされていますが、ケラバが長い片流れ屋根は他の屋根形状に比べると、ケラバ部分の雨漏りのリスクが高くなります。さらに、切妻屋根以上に外壁全体に雨が当たりやすくなりますので、屋根の方向は周囲の建物や植樹の位置を見極めて決定すると良いでしょう。

ここからは、屋根材と屋根形状の特徴を踏まえて、それぞれのおすすめの組み合わせをご紹介します。

スレート材はほとんどの屋根形状に調和しますが、お城などに使われてきた伝統的な「入母屋造」のような和風様式には不向きです。

切妻屋根は、小屋裏収納やロフトを設けやすい構造をしています。屋根材に断熱性の高いスレート材を選んでおくと、夏でも比較的過ごしやすい小屋裏空間にすることができます。

屋根形状との相性はスレート材とほぼ同じですが、軽くて加工しやすいガルバリウム鋼板は、スレート材以上に施工しやすい屋根材です。

加工しやすいガルバリウム鋼板は、形状が複雑な寄棟屋根の施工に適しています。 また、日光を反射しやすいガルバリウム鋼板でも、屋根1枚あたりの面積が小さい寄棟屋根であれば、反射を軽減することも可能です。

加工しやすいガルバリウム鋼板は、形状が複雑な寄棟屋根の施工に適しています。 また、日光を反射しやすいガルバリウム鋼板でも、屋根1枚あたりの面積が小さい寄棟屋根であれば、反射を軽減することも可能です。

デザインの斬新さで最近増えだしたアーチ曲面の屋根には、板金加工の技術が生かされ最適な屋根材と言えます。

和風様式の入母屋造におすすめの瓦屋根ですが、片流れ屋根や寄棟屋根などのモダンな住宅を想定して作られていないため、そのメリットを活かすことはできません。

切妻屋根を瓦屋根にして、あえて和モダンな雰囲気を演出するデザインも人気です。特に、平屋の切妻屋根であれば、瓦の重厚感とモダンな雰囲気をより引き出すことができるでしょう。